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質問一覧

建築物について
Q&A



     
  アスベストについて  
  Q.アスベストとは何ですか? どんな種類がありますか?
A.アスベストは、石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれる、天然の鉱物繊維です。代表的なものは蛇紋石系のクリソタイル(白石綿)、角閃石系のクロシドライト(青石綿)及びアモサイト(茶石綿)の3種類です。
アスベストは、断熱性、耐薬品性、絶縁性等の特性があり、安価な工業材料であることから、建設資材、電気製品、自動車、家庭用品等3,000種を越える利用状態があるといわれています。アスベストは、その繊維が極めて細いため、大気中に飛散すること、吸い込むことが大きな問題となっています。
アスベストはその9割以上が建材製品に使用されています。特に吹き付けアスベストはビルの耐火材、耐熱材として、昭和31年から昭和50年初頭まで使用されており、現在、それらのビルが解体時期に入っています。解体する際、使用されたアスベストが周囲に飛散するのを防ぐために、吹き付けアスベストの除去作業を行う場所は、外気と隔離することが必要となっています。
 
     
 
Q.アスベストにはどのような危険性があるのですか
A.アスベストの繊維は、きわめて細かいため、浮遊しやすく、吸入されやすい特徴があります。アスベスト材そのものに毒性はありませんが、飛散したアスベスト繊維を吸入すると繊維は肺の中に残り、肺がんや中皮腫、アスベスト肺(肺の慢性線維症)の原因になります。現在起こっているアスベストによる健康障害の多くは、過去のさまざまな場面での職業的暴露に起因するものです。
さらにアスベスト取り扱い事業所(工場)近隣の住民にも被害がおよんでいます。
特に建材にアスベストを使用しているビル等の解体(改修)や吹き付けアスベスト材の経年劣化などにより、アスベスト粉じんの飛散が心配されています。

 
     
 
Q.アスベストは何に使われているのですか?
A.使用用途は3,000種類以上を上回ると言われています。その9割以上が建築資材の原料として使用され、建築物の壁材、屋根材、外装材、内装材に使用されています。

 
     
 
Q.身近なものでアスベストが使用されているものにはどのようなものがありますか?
A.住宅や倉庫では、軒裏、外壁、屋根などにセメント板が使用され、ビルでは、空調機械室などの天井、壁に吹き付け材が使用されています。その他、自動車のブレーキ、電線の被覆材、器具の断熱材、シーリング材などに使用されていました。
また、一部の家電製品などにも使用されていましたが、現在市販されているものにはアスベストは使用されていません。
 
     
 
Q.アスベストに関する規制にはどのようなものがありますか? いつから使用禁止になりましたか?
A.アスベストの使用は、段階的に禁止または使用中止にされてきました。
  • アスベストの吹き付け作業:昭和50年に禁止(特定科学物質等障害予防規則)
  • クロシドライト(青石綿)の輸入中止:昭和63年(業界自主規制)
  • 特定粉じん(石綿)の製造施設の届出及び敷地境界での測定義務化:平成元年(大気汚染防止法改正) 10本/リットル以下
  • 「建築物等の工事に伴うアスベスト飛散防止対策要綱」(東京都)を策定し、建築物等の工事におけるアスベスト飛散防止対策を規定:平成2年
  • 同要綱を「公害防止条例」に組み入れ、解体時の遵守事項等を規定:平成6年
  • アモサイト(茶石綿)の輸入中止:平成6年(業界自主規制)
  • アスベストの中で、アモサイト(茶石綿)とクロシドライト(青石綿)の製造・輸入・使用等:平成7年に禁止(労働安全衛生法施行令)
  • 吹き付けアスベストを使用する建築物の解体等の作業に伴う石綿による大気汚染を防止するため作業基準の設定、事前届出を規定:平成8年(大気汚染防止法改正)
  • アスベストの中で、クリソタイル(白石綿)の製造、輸入、使用等:平成16年10月に原則禁止(労働安全衛生法施行令)
ただし、有毒ガスなどを扱う科学プラントの配管接合部分に使うシール材など代替が難しいものは、現在でも使用が認められています。しかし、これらも平成20年(2008年)までに全面的に使用禁止予定です。

 
     
 
Q.アスベストの濃度について、安全な基準はあるのですか?
A.(1)管理濃度:厚生労働省が決めた環境評価のための数値(作業場内に対し)
          0.15 f/cm3 (平成17年4月から)
   (2)許容濃度:日本産業衛生学会の許容濃度委員会が決めた濃度
      ・過剰発ガン生涯リスクレベル(白石綿以外の石綿に対し)0.003 f/cm3
   (3)敷地境界線濃度基準:大気汚染防止法(環境省)
           10 f/L = 0.01 f/cm3
等色々ありますが、個人差もあり絶対安全値というものはありません。
 
     
  建築物について  
  Q.アスベストは、建築物に使用されていると聞きますが、どのように使用されているのですか?
A.アスベストは安価であり、耐火性、耐熱性、防音性、絶縁性などの多様な機能を有していることから、耐火・断熱・防音の目的で建築材料として、建築物(ビル、学校、病院、工場、住宅の一部など)や工作物(駐車場、プラットホーム、変電施設など)に大量に使用されてきました。その使用形態は大きく分けると次の4つになります。
1) 吹き付けアスベスト
2) アスベスト含有の吹き付けロックウール、ひる石、パーライト
3) アスベスト保温材(石綿含有保温材、耐火被覆板など)
4) アスベスト成形板(石綿スレート、パルプセメント板、石綿セメントサイディングなど)
特に注意する必要があるのは、壁や天井に吹き付けられたアスベストおよびアスベスト含有の吹付けロックウールです。これらは解体時や経年劣化とともに飛散しやすくなります。石綿スレートなどは、アスベストとセメント等を固化して造るため、通常の状態での飛散の恐れはありませんが、住宅補修時の材料の切断や解体の時に注意が必要です。

 
     
 
Q.建築物でアスベストが使われているか、どのように調べたらよいですか?
A.建築物を施工した業者に問い合わせ、建築時の施工図や材料表などが掲載されている設計図書で確認します。建築時の情報がない場合は、目視での確認や吹き付けアスベストが規制された年代と建築年次、使用されている用途などにより類推する方法があります。吹き付けアスベストの施工時期の目安は次のとおりです。
1) 吹き付け石綿:昭和50年まで
2) 石綿含有吹き付けロックウール:昭和55年まで(湿式工法では昭和63年まで)
3) その他の石綿含有吹き付け材:昭和63年まで
また、分析を行いたい場合は、個人の負担(数万円)で行うことが出来ます。借家・マンションにお住まいの方は、大家さんや管理者等に確認して下さい。
 
     
 
Q.建築物に吹き付けアスベストが使用されています。 どのような対処をすればよいですか?
A.石綿障害予防規則において、吹き付けられたアスベストが劣化等により粉じんを発散させ、労働者がその粉じんに暴露する恐れがあるときは、除去・封じ込め・囲い込み等の措置を講じなければならないとされています。石綿障害予防規則等、関係法令に従って適切に対処して下さい。法律上は、特定化学物質等作業主任者の資格及び特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を有し関係法規を遵守していることが必要です。
 
     
 
Q.一般の住宅でもアスベストは使われていますか?
A.店舗併用住宅等、鉄骨や鉄筋住宅では、昭和30年頃から50年頃までに建設された建物を主に、H鋼やコンクリートスラブの表面に吹き付けアスベストが使われている場合があります。昭和50年に吹き付けアスベストが原則禁止となってからは、アスベスト含有吹付けロックウールがおおむね昭和63年まで使用されていました。また、その他の住宅においても、住宅屋根用化粧スレートなどのほか、建築物の外装であるサイディング、外壁や間仕切壁等の押出成型セメント板が最近まで使われたりしています。(平成16年10月製造等禁止)これらスレート等の建材はアスベスト成形板と呼ばれ、非飛散性のアスベストです。

 
     
 
Q.住宅にアスベスト成形板が使われていますが、問題はありますか?
A.アスベスト成形板は、セメントなどで固定しており、切断などをしないかぎり、大気中に飛散する可能性は低いため、健康影響の心配はありません。解体等の工事については、吹き付けアスベストなどと比較して飛散の程度が低いことから、大気汚染防止法や環境確保条例の届出対象とはなっていません。しかし、アスベスト成形板も物理的に破壊した際には環境中のアスベストを飛散させる可能性があるため、事前に手作業で除去してから解体することが望ましく、これによらない場合でも、作業中、常に散水し成形板を十分湿潤状態にして解体する必要があります。
 
     
 
Q.「石綿障害予防規則」について、内容を教えてください。
A.石綿は、1970年から1990年にかけて大量に輸入され、その多くは建材として建築物に使用されましたが、今後これらの建築物の老朽化による解体工事の増加に伴い、解体工事従事労働者の石綿による健康障害の発生が懸念されています。石綿含有製品のうち建材、摩擦材および接着剤については、既に製造、使用等が禁止されていますが、さらに、関係労働者の健康障害防止対策の充実を図るため、石綿障害予防規則が制定され、平成17年7月1日より施行されました。この規則では、解体工事を行う事業主に一定の措置を義務付けるとともに、建築物の所有者、管理者にも一定の措置を求めます。

【建築物の所有者、管理者に求められる措置】
  1.建築物に吹き付けられた石綿の管理(石綿則第10条関係)
   石綿の損傷、劣化等によりその粉じんを発散させ、労働者がその粉じんにばく露する恐れがあるとき
      1)除去  2)封じ込め  3)囲い込み
  2.建築物の解体工事等の発注時における措置
      1)情報の提供(石綿則第8条関係)
      2)工期、経費等の条件(石綿則第9条関係)

 
     
 
Q.アスベストの撤去にはいくらぐらいかかりますか? そのための経費の融資を受けることは出来ますか?
A.アスベスト処理工事は定価のない工事で、案件毎に図面又は現地を調査して見積ります。国土交通省のホームページからおおよその費用が推定できます。融資については各自治体によって異なりますが、自治体の融資が受けられる場合があります。詳しいことは、各自治体の相談窓口にお問い合わせください。
 
     
 
Q.取り除いたアスベストはどのように処理するのですか?
A.アスベストは廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に規定されている特別管理産業廃棄物「廃石綿等」(飛散性アスベスト廃棄物)とそれ以外の産業廃棄物(非飛散性アスベスト廃棄物)の2つに分けられます。  
  • 飛散性アスベスト廃棄物は、特別管理産業廃棄物に該当し、処理方法は廃棄物処理法で決められています。大気中に飛散しないように、あらかじめ、耐水性の材料で二重に梱包するか、固形化の措置を講じた上で、最終処分場で処分することになります。なお、廃石綿等を溶融処理した場合の溶融物は、安定型処分場で処分することになります。
  •   
  • 非飛散性アスベスト廃棄物は、通常の産業廃棄物に該当し、安定型処分場への処理基準が適用されます。ただし、非飛散性アスベスト廃棄物でも建築物の解体工事等から発生する場合は、撤去や保管、運搬中に石綿が飛散しやすいため、国の技術指針などに基づき取り扱います。ここでは、手作業による撤去、散水、分別保管、袋詰め、シート掛け等の措置が必要になります。また、撤去後は最終処分場に直接運搬し、破砕処理は原則禁止となります。
 
     
  Q.建物にアスベストが確認されたが、飛散する可能性が低いため除去しなかった場合、法令規制上では問題があるのでしょうか?
A.建物にアスベストが確認された場合、ばく露される期間及び程度を最小限にするよう努めなければなりません。
吹付けアスベストの場合、劣化し飛散する恐れがあるときは、飛散の可能性が低いと思われる場合でも、当該石綿等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければなりません。(石綿障害予防規則第10条)
スレートやボードは、飛散する可能性が低いと思われる場合、建物の改修や解体時まで、除去しなくても法令上問題はないと考えられます。
 
     
 
Q.建物に吹付けアスベストが使用されていると疑っているので、専門機関に分析調査を依頼したいと思いますが、アスベスト試料を自分で採取しても大丈夫ですか?
A.採取中にアスベストの粉じんが飛散することが多いため、安全措置を取らなければ、生活環境に関わる障害が生じることがあります。また、アスベスト採取後の飛散防止対策が必要であるので、事前に専門家に相談することを勧めます。
 
     
 
Q.アスベスト除去後、建物がすぐ使用できますか?その保証はありますか?
A.アスベスト除去後、工事区画内のアスベスト濃度測定を行い、所定の濃度以下であることを確認して、工事終了となります。従ってこれ以降はアスベストの心配は不要となります。但し、アスベストの除去対象が建築基準法上要請される鉄骨の耐火被覆材であった場合、除去後の鉄骨に対する耐火措置を行う必要があります。鉄骨の耐火被覆がなくなると、火災などの災害が起こると、大きなダメージを及ぼします。
 
     
 
Q.建物にアスベストが確認された場合、管理者または所有者は無視できるのか?
A.石綿障害予防規則により粉じん発散のおそれがある時は
      ・何らかの措置を講じ(第10条)
   解体等の作業請負人に対しては
      ・石綿等の使用の状況の通知を行い(第8条)
      ・建築物の解体工事等の条件の中に費用および工期を折りこむ(第9条)

   と規定されています。
 
     
 
Q.建て替え、解体時、アスベストは解体廃棄物と同じように処分するのですか?
A.建て替え、解体に先立ってアスベストの除去が必要であり、飛散性のあるアスベストは、コンクリート破片等の産業廃棄物と区別し、特別管理産業廃棄物として処分しなければなりません。
 
     
 
Q.見えるところには吹き付けアスベストが使用されていないのですが、見えないところは大丈夫ですか?
A.天井裏、壁の内側などの見えないところに吹付けアスベストがあった場合、通常では天井、壁ボードに覆われていることより、飛散することがないと考えられます。しかし、劣化し粉じん飛散の可能性があると、なんらかの措置を講じなければなりません。日常点検時、改修・補修時に人体がアスベストに接触するおそれがあるので要注意です。

 
     
 
Q.除去するにはどのぐらいの期間が必要ですか?
A.たとえ小規模除去工事であってもアスベストを安全に除去するには、最低1ヶ月程度は必要です。(計画・・・1週間、事前届出〜許可・・・2週間、工事・・・1週間、その他)除去面積が大きくなると長期間を要します。
 
     
 
Q.アスベストの処理にあたって、どんな資格が必要になるのですか? 
     信頼性はあるのですか?

A.石綿使用建築物等の解体等を作業するのは、アスベストに関する特別教育を受けた作業員です。また、特定化学物質等作業主任者の講習修了者から石綿作業主任者が選任され、アスベスト処理に関する安全作業の指示、監視などを行います。(平成18年4月からは、「石綿作業主任者」が「特定化学物質等作業主任者」から独立する予定です)
しかし、仕事の性質から技術審査証明を取得しているなど充分な経験を持っている専門業者でないと信頼のおける施工をするのは難しいでしょう。

 
     
 
Q.アスベスト除去はどのぐらいの費用がかかるのでしょうか?
A.アスベスト処理工事は定価のない工事で案件毎に図面又は現地を調査して見積ります。国土交通省のホームページからおおよその費用が推定できます。極少面積の場合を除き、除去面積あたり、3万円〜6万円程度は必要です。
 
     
  健康について  
  Q.アスベストが原因で起こる疾患にはどのようなものがありますか?
A.アスベストが起こす健康障害には、主に5種類あるといわれています。
1) アスベスト肺(石綿肺):肺線維症(じん肺)の一種
2) 肺がん
3) 悪性中皮腫:胸膜、腹膜、心膜または精巣鞘膜にできる悪性腫瘍
4) 良性石綿胸膜炎
5) びまん性胸膜肥厚
 
     
 
Q.アスベストをどのくらい吸うと発病しますか?
A.アスベストを吸い込んだ量と肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、短期間の低濃度暴露における危険性については不明な点が多いとされています。空気中濃度の基準としては、工場などの空気中のアスベストの繊維は、空気1リットル当たり150本以下、工場の敷地境界線における大気中のアスベスト繊維は、空気1リットル当たり10本以下と規定されています。一般の大気中には、1リットル当たり0.2本くらいのアスベスト繊維があるといわれています。
 
     
 
Q.アスベストの種類によって、発症リスクに差がありますか?
A.クリソタイル(白色石綿)に比べてクロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)は毒性が強いといわれています。肺がんのリスクは、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトは共に同程度で、中皮腫のリスクは、クリソタイルとアモサイトが同程度で、クロシドライトはクリソタイルと比べた場合4〜10倍高いとされています。
 
     
 
Q.アスベストを吸い込んでしまったかどうかは分かりますか? また、吸い込んだアスベストはどうなりますか?
A.胸部X線写真でアスベストを吸い込んだ可能性を示唆する所見が見られる場合もありますが、アスベストを吸い込んだ全ての方にその所見があるとは限りません。また、いったん吸い込んでしまったアスベストは、通常、異物として痰の中にまざり、体外に排出されます。しかし、肺胞内に達したアスベスト繊維は、その形状から破壊・分解されにくく、長期間肺胞内に留まります。
 
     

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